オゾンと消臭、脱臭についての考察

掲載日:2019.01.08

オゾンは比較的取扱が簡易で消臭、除菌、害虫忌避効果があることから、多種多様なオゾン発生器が開発され、販売されてきました。
近年では、消費者のライフスタイルの変化、インバウンドの増加に伴い、ホテル客室の消臭目的で利用されるケースが非常に多くなってきました。
しかし、

・時間がかかる
・手間がかかる
・臭いが取りきれない
・香水、お香などはお手上げ(消臭できない)

といった声を多く耳にします。何故このような声が多く聞かれるのでしょうか?

オゾンと物質の消臭、脱臭反応について

一般的に、オゾンを空間に供給しさえすればオゾンと物質の反応(消臭、脱臭)が起こるものと思われていますが、実は、条件が整わなければ消臭、脱臭反応は起きません。
1.オゾンと物質の反応は緩慢なので、いくつかの条件を整えてあげなければならない
2.物質の種類により反応度が違う

消臭、脱臭反応が起きるための条件とは

1.オゾン濃度を一定以上(具体的な数値は企業秘密)にし、持続させる
2.温度、湿度の調整
3.分子活動を高める為の工夫(サーキュレーター等を使う)

オゾン濃度を一定以上にすること

オゾンには自然分解、反応分解という特性があります。
自然分解 → 時間の経過とともに自然に分解して空気、酸素に戻る性質
反応分解 → 臭気物質等の物質と反応、分解して空気、酸素に戻る性質
つまり、一定以上の濃度にし、維持する為には自然分解+反応分解のスピードを超えるオゾン生成量が必要になります。

オゾンと臭気物質の反応度の違い

臭気物質の持つ特性、分子構造によりオゾンとの反応度が違います。
反応度の違いにより、オゾン濃度*オゾン暴露時間が違ってきます。
例えば、タバコ=○○ppm*5分間、香水=○○ppm*60分間

【まとめ】
確実な消臭効果を得るためのオゾン脱臭機の条件は下記の通りです。
一定以上のオゾン生成量があること(7,000mg/h以上)
生成したオゾンを供給する風量が大きいこと(250m3/h以上)

そして、上記の条件で行う脱臭方法は“オゾンショックトリートメント法”【略称OST法】と呼ばれています。
処理に要する時間、効果、対象スペースの広さの違いから、一般的な“オゾン酸化分解法”“オゾン脱臭法”と違った名称で呼ばれています。
OST法は、最新の脱臭法と位置付けられ、孤独死、ゴミ屋敷、火災の後などの重篤な臭気現場の消臭、脱臭法として広く利用されています。

追記
何故、国産メーカーはOST法に準拠した機器を開発、販売しないのか?
1.脱臭反応の原理を知らなかった。
2.空気原料で1時間に7,000mg以上のオゾンを生成することが技術的に難しい。

オゾンと反応しやすい物質と反応しにくい物質