「菌をゼロにする」時代の終焉
掲載日:2025.07.01
私たちは長らく、除菌とは「すべての菌を取り除く」ことだと考えてきました。強力な消毒薬、抗菌グッズ、無菌空間の追求。これらは確かに、一時的な清潔さをもたらします。しかし、自然界には「善玉菌」や「常在菌」と呼ばれる、私たちの健康維持に必要不可欠な菌も数多く存在しています。すべての菌を排除するアプローチは、時に自然とのバランスを崩し、逆に不安定な衛生状態を生む可能性もあるのです。
従来の衛生管理は「すべての菌を排除する」という発想を中心に展開されてきました。消毒剤や抗菌加工は一定の効果を持つものの、過度な除菌は空間バランスを壊し、かえって病原菌のリスクや耐性菌の増加を招く可能性が指摘されています。
この問題に対する次世代型の解決策として注目されているのが、「空間フローラ」の考え方に基づく衛生設計です。